栄養の吸収をスムーズにするためによく噛んで食べよう

栄養の吸収をスムーズにするためにはよく噛んで食べる事が大切です。ここではそれについて私なりに考えた事を書いてみます。ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。

食べ方は栄養素の吸収に大きな影響を与える

「噛む」事を「咀嚼」と言いますが、咀嚼をすると口の中に「唾液(プチアリン)」という消化液が分泌されます。唾液=ツバですので汚いイメージもあるかもしれませんが、この唾液には糖を消化しやすくするという重要な役割があります。

糖は「多糖類」「少糖類」「単糖類」という主に3つの種類に分けられます。この内、多糖類は糖の分子がたくさん連なったもので、少糖類はそれが少ない状態で連なっているものです。更に少糖類は連なった糖の数によって分けられ、それぞれ四糖類、三糖類、二糖類があります。そして最も単純な構造が単糖類です。多糖類や少糖類はそのままでは消化しにくいため、唾液によって少しずつ分解しながら胃腸へ送る必要があります。そして小腸へ行く頃には様々な消化酵素によって単糖類にまで分解されており、そこでようやく吸収する事ができます。よく聞く糖の名前を挙げると「デンプン」「グリコーゲン」「デキストリン」などは多糖類、少糖類の内「ショ糖・砂糖(スクロース)」「乳糖(ラクトース)」「麦芽糖(マルトース)」などが二糖類、「果糖(フルクトース)」「ブドウ糖(グルコース)」などが単糖類です。例外として数個の単糖同士が結合している「オリゴ糖(少糖類)」もあります。


咀嚼をする事と糖尿病について

多糖類や少糖類は分解・吸収が緩やかであり、少しずつ分解するので血糖値が急激に上がらないという特徴があります。すなわちよく噛んで食べれば腸で一気に糖が分解されるという事も減るので、血糖値の急激な上下動は更に抑えられ、体への負担はあまりありません。エネルギーをゆっくりと補給したい場合には体に負担がかからない多糖類や少糖類を摂ると良いでしょう。しかし分解・吸収が遅いため、大量に摂った場合には結果として吸収される糖の量は多くなります。一度に大量の糖を摂ると消費しきれなかった糖が行き場を失う事になり、時間経過と共に少しずつ脂肪へと変換されてしまいます。それは皮脂の過剰分泌はもちろん肥満にも繋がります。よって脂肪に変わる前の糖の状態の時に運動によって消費してしまう事が重要です。

一方、単糖類は分解・吸収が非常に速く、すぐに脳や筋肉のエネルギー源として利用する事ができます。そのためその場での疲労回復ではこちらが圧倒的に効果的です。しかしその吸収の速さから血糖値が急激に上がりやすいという特徴があり、一度に大量の糖を摂ると体に大きな負担がかかります。何故かというと急激に上がった血糖値を無理やり下げるために大量のインスリンが分泌されるからです。インスリンが大量に分泌されると今度は血糖値が急激に下がり、その下げ幅が大きければ大きいほど「糖が不足していると勘違いする」という事が起こります。すなわち実際には糖が不足していないにも関わらず、糖を欲するために空腹が訪れるのです。そうなると次の食事までの間隔も短くなるため、食事の量や回数がどんどん増える事になります。当然それは肥満の原因になります。その結果、血液中に糖が溢れた状態が続く事になり、ますます血糖値が下がらなくなります。それが繰り返されると血糖値を下げるために必要なインスリンの分泌機能も壊れていき、いずれは糖尿病と呼ばれる状態にもなります。

血液中の糖の濃度が高くなると血管の中を血液がスムーズに流れなくなり、血管の壁を傷つけてしまいます。血管の壁は傷ついても時間が経てば修復されます。しかし血糖値が高い状態が続くとその修復が間に合わずひたすら血管の壁が傷ついていきます。まず指先などの末梢にある細い血管(顔の皮膚なども同じ事)がダメージを受け、悪化すると動脈のような太く流れの早い血管でも起こるようになります。そこに塩分過多や脂肪過多などが重なると血管の壁が硬くなる「動脈硬化」や血栓ができやすくなる事によって脳梗塞や心筋梗塞などにも繋がっていきます。


小さい頃からよく噛んで食べる事は美容にも繋がる

唾液は水分を豊富に含んでおり、水分の少ない食べ物を咀嚼しやすくする役割もあります。乾燥した食べ物はそのままでは噛みにくく飲み込みにくいので、唾液を混ぜる事で食べ物を湿らせ、湿らせた食べ物を噛み砕く事で消化・吸収を促す事ができるのです。

現代人は柔らかい食べ物を食べる機会が多く、顎を使わなくなっていると言われています。特に現代の日本人は一度の食事で行う咀嚼の回数が大きく減っており、単純に食べる量の多い欧米人と比べて子どもの頃の顎の発達が遅れる傾向にあります。顎の発達が遅れると成長過程で顎が大きくならず、顎の筋力が鍛えられません。顎が小さくなる=顔が小さくなるという事でもあるので女性の方には嬉しいかもしれませんが、歯の生えるスペースが狭くなるので確実に「歯並び」は悪くなります。

実はテレビで活躍している顔の小さな芸能人やタレントの多くは、その成長過程で「歯列矯正」で治したり、早くに親知らずを抜いたりしています。顔が小さいという事は日本人にとって美しさや可愛いさという良い評価の一つになりますが、残念ながら歯並びは犠牲になっているのです。一概には言えませんが、歯並びが悪いという事は小さい頃からの食習慣が乱れている証拠でもあるのです。まぁ我々がテレビで目にする頃には既に歯並びを治した後で、ほとんどの場合見た目だけでは分かりませんけどね。

「ニキビを治す」という点で言えば、よく噛まずに食べる習慣があると顔の皮膚や筋肉へ栄養・酸素が行き渡らなくなります。例えば筋肉を使うとその周囲にある毛細血管の数を増やす事ができます。何故なら細胞がより多くの酸素や栄養を必要とするからです。ですので顔や顎の筋肉が使われないと皮膚がたるみやすくなり、シワやソバカスができやすくなったり、ニキビも悪化して中々治らない事があります。よく噛んで顔の筋肉を動かすようにしましょう。


よく噛む事で口の中を清潔に保つ事ができ、大きな満腹感も得られる

咀嚼をすると口の中に唾液が分泌されるという事は、咀嚼をしないと唾液の分泌量が減るという事です。実は唾液には上記のような「消化吸収を促す」役割の他に、口の中を清潔に保ち、歯の表面を保護する重要な役割もあります。ですので唾液が少なくなると逆に口の中で菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病、口臭などの原因になります。唾液の少ない食習慣を続けていると若い内は良くても将来「総入れ歯」なんて事にも繋がりかねません。そうなれば栄養状態にも直結するため、寿命にも大きな影響が出る事になるでしょう。子どもが小さい内からよく噛んで食べる事を習慣づける事が重要です。

ちなみにですが、よく咀嚼をして食事をすると「レプチン」というホルモンが分泌されます。このホルモンが分泌されると満腹中枢を刺激する事で大きな満腹感を得る事ができます。ですのでダイエットでは食事の量を減らすのではなく、栄養バランスの良いメニューを「よく噛んで食べる」方が実際には少ない食事量で済む事になります。別記事参照→レプチンについて